また運動をやればどういう効果があるのでしょうか。
運動療法を長く続けるためにも、それらについて良く知っておく必要があると
思います。
■運動することの効果
糖尿病予備軍の改善取り組みでは、血糖の値を良い状態に戻すように、食事と
運動に取り組んでいきます。
運動を続けることによって、ブドウ糖がエネルギー源として筋肉に吸収され、
体内のブドウ糖の活用がスムーズになっていくからです。
■インスリンの働き
インスリンは、筋肉や脂肪組織に血液中の糖分を取り込ませる働きをしていま
す。
運動することによって筋肉や脂肪組織がインスリンに反応し易くなり、インス
リンの働きも活発になります。
これによってインスリンを節約できるようになり、すい臓の負担が軽くなるの
です。糖尿病予備軍の人は糖が少し高い状態が続いており、インスリンを出す
すい臓に負担がかかり続け、疲れた状態となっている場合が多いです。
すい臓を正常に戻すためには、必要な時に効率良く働かせ、それ以外の時は休
ませることが必要です。
そのように良いかたちで回るようにさせることで、結果的に血糖値が低くなり、
血糖のコントロールに役立つことになるわけです。
■基礎代謝の向上
また運動によって人間の生命を維持するうえで最低限必要なエネルギー量、
すなわち「基礎代謝」が向上します。
一日に消費されるエネルギーのおよそ6割から7割を占めているこの「基礎代
謝」の向上により、身体の心肺機能も高まり血流も良くなるため、動脈硬化の
予防にも役立ちます。
さらに副次的な効果としてストレスの解消、つまりは生活習慣病全般の予防に
も役立ちます。
■運動不足だと
逆に運動不足の場合、運動による刺激を受けないために筋肉が委縮しがちにな
り、筋肉のブドウ糖の利用効率が悪くなっていきます。
運動を行わない場合に比べた場合、血液中のインスリンの濃度が同程度であっ
たとしても、運動をすることによって糖代謝が活発になるため、インスリンの
効果が十分にあらわれるようになるのです。
■運動多ければ食事療法は不要?
運動療法をやる上で良く知っておく必要があることは、
「食事療法がおろそかになった分を、多くの運動をしてそのエネルギー消費で
とり返そう」とする考え方は、間違っているということです。
なぜかというと、運動によるエネルギーの消費量自体は、それほど大きくはな
いからです。普通に20分程度歩いても、エネルギーの消費量はせいぜい
80kcal程度なのです。
生活習慣病を予防しさらに体力の低下を防ぐためには、エネルギー消費量が
1日に300kcal程度の運動が必要と言われています。
ウォーキングなら1時間半、ジョギングにすると30分程度の運動が必要にな
ります。
これを毎日続けるということは、かなり大変なことだとわかることと思います。
食事での摂取カロリーは、運動の消費カロリーに比べて非常に大きいのです。
食事療法をおろそかにして運動量でコントロールしようとすることには、大き
な無理があるのです。
時おりどうしても食べ過ぎたり飲みすぎたりする状況も出てきます。
このようなときの余剰カロリー分も含めて、運動療法だけで何とかしようと思
っても所詮、無理な話なのです。
かといって、食事療法だけで頑張るというのも間違っています。
最初に萎縮しはじめるのが脂肪ではなく筋肉であるため、筋肉が刺激を受けな
い状態が長く続くと、身体のブドウ糖の利用効率が下がってくるからです。
糖尿病予備軍の治療は、あくまでも食事療法を中心に据えて、そして適切な運
動を行って体調をコントロールしながら改善していくべきなのです。
■運動療法の実際
糖尿病の治療における運動を考える場合、ウォーキングや水泳などのいわゆる
「有酸素運動」、そしてダンベルやトレーニングマシンによる筋力トレーニン
グなどの「無酸素運動」の両方を、組み合わせて行うことが大事です。
有酸素運動を行うと体が酸素を取り込み、脂肪をエネルギーとして消費します。
筋肉トレーニングなどの無酸素運動を行うと、体の基礎代謝量が上がるためエ
ネルギーの消費量が増えて、脂肪がつきにくい体となります。
これらの運動負荷をきつく感じるような場合は、無理をせず室内でのストレッ
チや負荷の軽い筋肉トレーニングを、メニューの中心にすると良いでしょう。
運動の強度は「自分にとって最もきつい運動量の半分程度」が望ましいとされ
ています。
■運動する回数や間隔
運動を続けることが一番大事ですが、ときおり体を休ませることも大事です。
また運動の効果は3日以上続くとされます。
そのあたりのことを考えると適当な回数は週に4~5回程度で、少なくとも2
~3回は必要と考えられます。
週に1回ではあきらかに少な過ぎて、効果はかなり小さいものとなるでしょう。
運動するときは毎日のようにして、しないときは連続して休むというのも、望
ましいやり方ではありません。
安定的に血糖値をコントロールしたいという目的を考えると、運動の間隔にあ
まり凹凸があるのは好ましくありません。
■運動の種類と時間帯
空復の時に運動すると、効率よく体内のエネルギーが消費できません。食後の
血糖値が少し上がったころ(食後1~2時間くらい)から軽いウォーキングな
どをするというのが望ましいやり方です。
ウォーキングは手軽にできてほとんどお金もかからず、一般的にもっともお奨
めできる有酸素運動です。
取り組む上で大事な点は、設定した運動量の目標を守り続けるということより
も、自分の調子に合わせて回数や運動量を加減しながら、いかに長続きさせる
かということに力点をおいて進めるのが良いでしょう。
まずは習慣化させるということが大事ですね。